いよいよ開幕した「電王戦Final
泣いても笑っても、これが最後の団体戦らしいので、
プロ棋士としてはここで勝ち越して終わらせたいところ。

一局目は新進気鋭の若手棋士、斎藤慎太郎五段!(21)
対戦する将棋ソフトは第24回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したApery

戦型は斉藤君の居飛車にAperyの四間飛車の対抗形へと進みます。
プロ棋士間では居飛車穴熊の台頭によって、一部棋士を除いてほとんど指されなくなった戦型ですが、
アマチュア間には以前人気があり、また将棋ソフトもよく用いる傾向があるらしいです。

先手の穴熊に対して、後手がじっくりとしたねじり合いへ進めるかと思っていたら
△6五銀~△4五歩という積極策へ
先手は穴熊を途中放棄し、飛車先を破って攻め合いの様相を見せます。

2015-03-15a
上図は恐らく本局のハイライト
▲6五竜とすれば先手の金得で簡単に勝ちそうに見えますが、
以下△6六歩▲同竜△5六銀▲7七竜△6五歩▲7七竜△2七角成(下図)
2015-03-15b
と進めた局面は次に△4五馬という手もあるため、先手としては竜を見切り
一手でも早い攻めが必要になる局面ですね。
検討では▲4四歩△同金▲5一角△3二飛▲4一銀△4九馬といった順がどうか
というところですが、恐らく夕食休憩を挟んだ長考で寄せ合いで勝てると見たのでしょう

本譜は臆せず▲7七竜の局面まで進めましたが、Aperyの指し手は△2二飛
上図の局面では寄せ合い負けすると見たうえでの指し手なのでしょうが、
これには▲2三歩△同飛▲3九金で、相手の飛車利きをずらしてから
飛車成と△2七角成の先手を同時に受けて、はっきりと先手が指しやすい局面へと進みました。

以下は妥協することなく、先手は検討でも示される最速の寄せで一気に決めていきました。

Aperyとしては強みが活かせなかった勝負となりましたが、
斉藤君としては妥協することなく、一番早い勝ちに踏み込んだ快勝譜となりました。
実際△2二飛の局面で、人間なら大多数が△2七角成(もしくはそれを含んだ手順)
へと進めると思いますが、悪いとみると形勢を水平線に保とうとする手を優先してしまうのは
やはり将棋ソフトらしいと言えますね。


電王戦Finalは幸先のいいスタートとなりましたが、
やはり今回はプロ棋士が一丸となってソフトに挑んでいるのが大きいですね。
以前は完全に個人プレイでしたが、今回は互いに互いの対戦するソフトを研究したりと
かなり準備の段階から本気で取り組んでいるのが分かります。

思えば、プロ棋士には団体戦というものが有りません。
学生大会なら3人制、もしくは5人制でのチーム戦が主になりますが、
プロ棋士はそういった経験がない人がほとんどなので、
そういった意味でも電王戦は棋界にとって貴重な経験になるのではないかと思います。

とにかく斎藤慎太郎君は若いのにプレッシャーを撥ね退け、見事な結果でした。
次は永瀬六段とSeleneの対局、自分としてはこちらも応援したいところです。

【電王戦Final第一局▲斎藤慎太郎五段vs△Apery】

終盤の王手ラッシュは賛否両論ありますが、将棋ソフトはそういうものなので
仕方ないと思いますよ(- -;)
自分は王手ラッシュが始まった瞬間に「勝った!第一局完!」と思って安心しましたけどね♪


~雑記~
資料制作の存在を忘れていた学生28歳(自称)です。
後輩宅で一緒に観戦していましたが、後輩は元気ですねw

学生大会で、自分程度の棋力でも
大会までに自分の戦型や戦い方をパターン化し、負け方、悪手を出す傾向をひたすら分析し、
実戦の中で自分が何を指したか、どうしてそのとき負けたのかをひたすら反芻する日々。
大会本番の全力で指すときには、
「ここで臆している様では、一生お前は将棋で強くなれない!勝てない!」
と自分に言い聞かせながら指していた日々はやはりしんどかったです(笑)

今は好きな戦型で、好きな展開で勝負を挑んで、
自分にしか結果が跳ね返ってこないのは気楽でいいです。
後輩には大会に出ることを勧められましたが、私自信メンタルが弱い人間なので
これ以上伸びしろも少ないおっさんが出しゃばるのはナンセンスでしょう。

後輩諸君!おい、頑張れよ!(米長風)