更新遅れたなぁ(しみじみ)
将棋界の貴族、佐藤天彦八段が挑戦する第63期王座戦。
後手番を持った佐藤八段の戦型は第1局に引き続き横歩取り。
基本的に、相居飛車で後手一手損角換わりを除けば後手番の戦型は
矢倉+角換わり
矢倉+横歩取り
相掛かり+横歩取り
などの組み合わせが濃厚になる上、天彦八段は2手目に△3四歩と突いて
後手番での横歩取りを得意にしていることもあって、大方の予想通りの戦型ですね。
上図は序盤戦。後手は△1五歩と端を詰めているのが趣向で、機を見て△2四飛から
飛車交換になったときに△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△1九飛▲2八金△2七歩
というような筋を狙っているため、先手としても慎重な対応が求められます。
また、上図から本譜の△6二玉は最近となっては違和感が少ない手ですが、
端を絡めて動くときにいずれ戦場になる2筋から遠ざけ、美濃に囲う順を見た構想です。
先手は銀を繰り出してから飛車を引き、落ち着いた流れになるかと思ったところで後手が仕掛けます。
本譜の△1六歩~△1七歩が機敏な動き。
先手はどう応じても△2四飛の筋を中心に動かれて戦いが起こることを避けられません。
先手の手段が困ったようですが、ここで▲2一角が羽生王座の指した手。
直接の意味では△2四飛の筋を防ぎながら先手を取ったものですが、
角を手放すだけに決断の一手です。後手は▲2一角に△2四歩と受け、
先手としては流れを治めることに成功しましたが、今度はこの角を活かすことができるかどうかに
焦点が絞られていきます。
△5二金~△2二金としても角を捕獲できますが、先手の飛車の射程に入ることや、
中央が薄いこともあって後手としても怖いところ。
本譜の△4二金~△5二金上は手数はかかりますが、△4一金~△3一金と
より安全に角を召し捕ってしまう狙いで、先手としては実現させるわけにはいきません。
しかし、上図の△2二角が先手の手を見切った対応で、
これで先手は△3一金の捕獲を防ぐことは困難になりました。
一度▲7五銀と飛車を追う手にも△8二飛で△3一金が間に合うと宣言しているのもポイント。
結果的に角桂と銀の交換となり先手は駒損。
先手は駒が前進しているものの、後手の陣形は低くコンパクトにまとまっており隙がありません。
先手は手を作っていかないと駒損だけが残ってしまうので▲3四歩△5一角▲3三銀!と
意地でも飛車を活用して攻め合いの形を目指しますが、下図の△2五歩が鋭い切り返し
同飛とする手に△4六桂▲同歩△1四角の間接王手飛車を用意している手ですが、
先手は他に手段も無いので▲2五飛△4六桂▲6八玉△3八桂成▲2一飛成として
勝負するよりありません。
後手は△4八成桂として寄せを狙いますが、羽生は即座に▲1一竜。
後手は黙っていると▲8五香(歩切れなので厳しい)や▲6五桂があって大変なので
ここでしっかり寄せきりたいところ。
本譜の△5九角~△6八金が恐らく最善最速の寄せで、同金に△8七飛成▲7八金打(他は詰み)
△3三角(下図)とした手が決め手となりました。
銀を取ったことで先手玉は詰めろですが、▲8七竜とすると△1一角とした手が
竜を取って再び詰めろで先手に手段がありません。
本譜は▲3三歩成と形を作ったところで後手が先手玉を詰まして投了となりました。
難しいように見える序盤から隙ありと見て動いた天彦八段の大局観。
羽生王座の勝負手にも冷静に対応した受けの強さ。
終盤で次々に繰り出される鋭い手と正確な寄せ。
天彦八段の強さが存分に発揮された快勝譜をなったことでしょう。
個人的には△1六歩からの仕掛けは定跡化されておかしくない手順だと思いました。
羽生王座は△1七歩と垂らされた時点ではすでに苦しいと見ていた模様。これで天彦は王座奪取にリーチ。
王座戦は羽生さんが最も力を発揮しているタイトルと言われるだけに、ここを取るかどうかはこれからの棋界のタイトル全体の流れを左右することになるやも知れません。
第4局は羽生王座が後手番。
横歩か角換わりというのが無難ですが、あえて力戦調の相居飛車と戦型予想してみます。
~雑記~
ニコ生にて村山じめいの謝罪会見が開かれました。
謝罪の内容を要約すると
①叡王戦で村山慈明が飯島七段を倒す。
②研究会で村山七段と飯島七段が同席する。
③村山七段か「叡王戦の調子はどうですか?」と飯島七段に聞く。
④「あ、そういえば僕に負けたんですね。」
ひねり飛車って奥が深い。
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将棋界の貴族、佐藤天彦八段が挑戦する第63期王座戦。
後手番を持った佐藤八段の戦型は第1局に引き続き横歩取り。
基本的に、相居飛車で後手一手損角換わりを除けば後手番の戦型は
矢倉+角換わり
矢倉+横歩取り
相掛かり+横歩取り
などの組み合わせが濃厚になる上、天彦八段は2手目に△3四歩と突いて
後手番での横歩取りを得意にしていることもあって、大方の予想通りの戦型ですね。
上図は序盤戦。後手は△1五歩と端を詰めているのが趣向で、機を見て△2四飛から
飛車交換になったときに△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△1九飛▲2八金△2七歩
というような筋を狙っているため、先手としても慎重な対応が求められます。
また、上図から本譜の△6二玉は最近となっては違和感が少ない手ですが、
端を絡めて動くときにいずれ戦場になる2筋から遠ざけ、美濃に囲う順を見た構想です。
先手は銀を繰り出してから飛車を引き、落ち着いた流れになるかと思ったところで後手が仕掛けます。
本譜の△1六歩~△1七歩が機敏な動き。
先手はどう応じても△2四飛の筋を中心に動かれて戦いが起こることを避けられません。
先手の手段が困ったようですが、ここで▲2一角が羽生王座の指した手。
直接の意味では△2四飛の筋を防ぎながら先手を取ったものですが、
角を手放すだけに決断の一手です。後手は▲2一角に△2四歩と受け、
先手としては流れを治めることに成功しましたが、今度はこの角を活かすことができるかどうかに
焦点が絞られていきます。
△5二金~△2二金としても角を捕獲できますが、先手の飛車の射程に入ることや、
中央が薄いこともあって後手としても怖いところ。
本譜の△4二金~△5二金上は手数はかかりますが、△4一金~△3一金と
より安全に角を召し捕ってしまう狙いで、先手としては実現させるわけにはいきません。
しかし、上図の△2二角が先手の手を見切った対応で、
これで先手は△3一金の捕獲を防ぐことは困難になりました。
一度▲7五銀と飛車を追う手にも△8二飛で△3一金が間に合うと宣言しているのもポイント。
結果的に角桂と銀の交換となり先手は駒損。
先手は駒が前進しているものの、後手の陣形は低くコンパクトにまとまっており隙がありません。
先手は手を作っていかないと駒損だけが残ってしまうので▲3四歩△5一角▲3三銀!と
意地でも飛車を活用して攻め合いの形を目指しますが、下図の△2五歩が鋭い切り返し
同飛とする手に△4六桂▲同歩△1四角の間接王手飛車を用意している手ですが、
先手は他に手段も無いので▲2五飛△4六桂▲6八玉△3八桂成▲2一飛成として
勝負するよりありません。
後手は△4八成桂として寄せを狙いますが、羽生は即座に▲1一竜。
後手は黙っていると▲8五香(歩切れなので厳しい)や▲6五桂があって大変なので
ここでしっかり寄せきりたいところ。
本譜の△5九角~△6八金が恐らく最善最速の寄せで、同金に△8七飛成▲7八金打(他は詰み)
△3三角(下図)とした手が決め手となりました。
銀を取ったことで先手玉は詰めろですが、▲8七竜とすると△1一角とした手が
竜を取って再び詰めろで先手に手段がありません。
本譜は▲3三歩成と形を作ったところで後手が先手玉を詰まして投了となりました。
難しいように見える序盤から隙ありと見て動いた天彦八段の大局観。
羽生王座の勝負手にも冷静に対応した受けの強さ。
終盤で次々に繰り出される鋭い手と正確な寄せ。
天彦八段の強さが存分に発揮された快勝譜をなったことでしょう。
個人的には△1六歩からの仕掛けは定跡化されておかしくない手順だと思いました。
羽生王座は△1七歩と垂らされた時点ではすでに苦しいと見ていた模様。これで天彦は王座奪取にリーチ。
王座戦は羽生さんが最も力を発揮しているタイトルと言われるだけに、ここを取るかどうかはこれからの棋界のタイトル全体の流れを左右することになるやも知れません。
第4局は羽生王座が後手番。
横歩か角換わりというのが無難ですが、あえて力戦調の相居飛車と戦型予想してみます。
~雑記~
ニコ生にて村山じめいの謝罪会見が開かれました。
謝罪の内容を要約すると
①叡王戦で村山慈明が飯島七段を倒す。
②研究会で村山七段と飯島七段が同席する。
③村山七段か「叡王戦の調子はどうですか?」と飯島七段に聞く。
④「あ、そういえば僕に負けたんですね。」
ひねり飛車って奥が深い。
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