【第65期王将戦第4局】
羽生名人が挑む王将戦。2勝1敗と後手番で一歩リードして迎えた第4局は角換わり。
考慮時間を適度に消費しつつ、端を突きあう角換わりの基本形へと進みます。
両者は先月に端を保留する形の角換わりを指していることもあって、水面下では細かい駆け引きがなされていたのでしょうが、上図まで進んでしまえば角換わりを指す人からすれば見慣れたものですね。
図で△4二金右が直近では一番多く採用されて最有力と言われている(らしい)手ですが、郷田王将の選択は△7三桂。隙を与えずに手待ちをするなら△4二金右や△4三金右などで、△7三桂は桂頭のキズを抱える手のため後手からも積極的に攻めてくる展開が予想されるところです。
対する羽生名人は長考で▲4五歩と仕掛けます。
ここで先手がゆっくりしていると、後手から△6五歩と仕掛ける展開で受け身になってしまうため、攻めるなら頃合い。△4五同歩の一手に対して、先手は端を絡めたり▲7五歩の突き捨てをいれたりと戦線を拡大しながら複雑に攻めていくかと思いきや、単に▲4五同銀。
▲4五銀の局面は既に前例がなく、先手は入手した歩を利かす筋が少ないだけに単調な攻め筋に見えますが、先手の攻め駒もすべてさばけているので、後手としても慎重な対応が求められるところです。
先手は囲いを正面から崩しにかかりますが、後手の△4三銀打~△4一玉が力強い対応。さらに、先手の攻めの面倒をみて余しにかかり上図。後手の陣形は跡形もありませんが、駒割は▲金△角桂と後手が大きくリードしています。先手は玉型がしっかりしているうちに駒の補充を図りながら後手玉に食らいつきたいのですが、如何せん攻め駒不足で、後手の玉が少し安定したところで反撃が始まります。
手筋の連続で迫る後手に先手は攻め合いへとシフトするタイミングがありません。
手順に金銀交換も果たし、急所に駒を利かされたところで先手は▲4三歩と開き直ります。先手の攻めは明らかに一歩遅く、後手が決めてしまえば勝負は決まる局面。飛車筋が逸れ、先手に手駒を持たれると▲3一銀などと迫られて怪しいことになってしまうのですが、そこは流石の郷田王将!△7六桂▲同金△6七金▲7七金引の形から△8六飛~△8七歩~△8五桂が読みきりの寄せで、先手に粘る手段を与えずに一刀両断しました。
▲4五銀の攻めは意外にも前例のない攻めのため結論を出すのは難しいでしょうが、やはり駒損して攻めることになるので、相当の成算がたたないと踏み込めない攻めだと思います。最も、この攻め筋が成立してしまえば後手の△7三桂は潰れることになりかねないので、角換わりの後手番を持つ側からすれば救われた感じはしますが。
また、終盤の郷田王将の△8六飛からの寄せは、見えていても指せる人は少ないのではないかと思われるくらい鋭い踏み込みで感嘆させられました。ふつくしい・・・///
これで番勝負は再び振り出しに。
フルセットの七番勝負が見られるかもしれねぇから、オラわくわくすっぞ♪
【棋譜:第65期王将戦第4局】
【棋譜:第9回朝日杯将棋オープン戦本戦▲郷田真隆vs△羽生善治】
あと参考程度に、朝日杯での羽生名人vs郷田王将の棋譜です。
先手、後手がそれぞれ△9四歩、▲1六歩を省略するという意味不明な形。
正直、級位者の方には「先手番では端を突く」「後手番では端を受ける」ことをお勧めしたいですけどね。損にはなりにくいので。
【創作詰将棋】
欲望のままに作った問題。簡単ですが意外と詰み筋は狭いです。
↓解けたらクリック!!
【雑記】
将棋で、誰のファンかと言われれば郷田王将のファンです。ただ、森内先生の矢倉に憧れ、野月先生の激しい攻めに興奮し、羽生名人の魔術めいた指し手に頭を悩まされながら、里見香奈の活躍を応援しつつ、藤井てんてーに癒される。そんな将棋ファンです。
あ、アルバム買わなきゃ。続きを読む
羽生名人が挑む王将戦。2勝1敗と後手番で一歩リードして迎えた第4局は角換わり。
考慮時間を適度に消費しつつ、端を突きあう角換わりの基本形へと進みます。
両者は先月に端を保留する形の角換わりを指していることもあって、水面下では細かい駆け引きがなされていたのでしょうが、上図まで進んでしまえば角換わりを指す人からすれば見慣れたものですね。
図で△4二金右が直近では一番多く採用されて最有力と言われている(らしい)手ですが、郷田王将の選択は△7三桂。隙を与えずに手待ちをするなら△4二金右や△4三金右などで、△7三桂は桂頭のキズを抱える手のため後手からも積極的に攻めてくる展開が予想されるところです。
対する羽生名人は長考で▲4五歩と仕掛けます。
ここで先手がゆっくりしていると、後手から△6五歩と仕掛ける展開で受け身になってしまうため、攻めるなら頃合い。△4五同歩の一手に対して、先手は端を絡めたり▲7五歩の突き捨てをいれたりと戦線を拡大しながら複雑に攻めていくかと思いきや、単に▲4五同銀。
▲4五銀の局面は既に前例がなく、先手は入手した歩を利かす筋が少ないだけに単調な攻め筋に見えますが、先手の攻め駒もすべてさばけているので、後手としても慎重な対応が求められるところです。
先手は囲いを正面から崩しにかかりますが、後手の△4三銀打~△4一玉が力強い対応。さらに、先手の攻めの面倒をみて余しにかかり上図。後手の陣形は跡形もありませんが、駒割は▲金△角桂と後手が大きくリードしています。先手は玉型がしっかりしているうちに駒の補充を図りながら後手玉に食らいつきたいのですが、如何せん攻め駒不足で、後手の玉が少し安定したところで反撃が始まります。
手筋の連続で迫る後手に先手は攻め合いへとシフトするタイミングがありません。
手順に金銀交換も果たし、急所に駒を利かされたところで先手は▲4三歩と開き直ります。先手の攻めは明らかに一歩遅く、後手が決めてしまえば勝負は決まる局面。飛車筋が逸れ、先手に手駒を持たれると▲3一銀などと迫られて怪しいことになってしまうのですが、そこは流石の郷田王将!△7六桂▲同金△6七金▲7七金引の形から△8六飛~△8七歩~△8五桂が読みきりの寄せで、先手に粘る手段を与えずに一刀両断しました。
▲4五銀の攻めは意外にも前例のない攻めのため結論を出すのは難しいでしょうが、やはり駒損して攻めることになるので、相当の成算がたたないと踏み込めない攻めだと思います。最も、この攻め筋が成立してしまえば後手の△7三桂は潰れることになりかねないので、角換わりの後手番を持つ側からすれば救われた感じはしますが。
また、終盤の郷田王将の△8六飛からの寄せは、見えていても指せる人は少ないのではないかと思われるくらい鋭い踏み込みで感嘆させられました。ふつくしい・・・///
これで番勝負は再び振り出しに。
フルセットの七番勝負が見られるかもしれねぇから、オラわくわくすっぞ♪
【棋譜:第65期王将戦第4局】
【棋譜:第9回朝日杯将棋オープン戦本戦▲郷田真隆vs△羽生善治】
あと参考程度に、朝日杯での羽生名人vs郷田王将の棋譜です。
先手、後手がそれぞれ△9四歩、▲1六歩を省略するという意味不明な形。
正直、級位者の方には「先手番では端を突く」「後手番では端を受ける」ことをお勧めしたいですけどね。損にはなりにくいので。
【創作詰将棋】
欲望のままに作った問題。簡単ですが意外と詰み筋は狭いです。
↓解けたらクリック!!
【雑記】
将棋で、誰のファンかと言われれば郷田王将のファンです。ただ、森内先生の矢倉に憧れ、野月先生の激しい攻めに興奮し、羽生名人の魔術めいた指し手に頭を悩まされながら、里見香奈の活躍を応援しつつ、藤井てんてーに癒される。そんな将棋ファンです。
あ、アルバム買わなきゃ。続きを読む